「知財管理」誌
Vol.53 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 53巻(2003年) / 1号 / 35頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許権の消耗と黙示の許諾 |
著者 | 古谷栄男 |
抄録 | 特許権の消耗は、特許権者の意思とは関係なく成立すると解するのが妥当である。ただし、特許権者の権利を不当に害することの無いように、消耗論は、明確かつ限定された範囲で適用する。具体的には、特許権者が特許品を流通市場に置いてから後の、ユーザによる使用が終わるまでの当該特許品そのものに限定される。したがって、使用後に再度流通市場に置く場合(中古品販売)や、特許品を改造・修理したりする場合には、消耗論は適用されない。このような場合には、特許権者の意図を考慮し、黙示の許諾があったかどうかに基づいて判断するのが妥当である。つまり、限定された中核部分の行為については消耗論を適用し、その周縁部分の行為については黙示の許諾論を適用する。さらに、このような考え方を、ソフトウエア特許におけるインストール行為などの具体例に当て嵌めて考察した。 |