「知財管理」誌

Vol.53 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 53巻(2003年) / 12号 / 1853頁
論文区分 論説
論文名 職務発明の「相当の対価」の算定方法に関する試論
著者 飯田秀郷、早稲本和徳
抄録 特許法35条に基づき、職務発明をした者が「相当の対価」を請求する訴訟事件が増加し、注目を集めている。しかし、判例・学説ともに「相当な対価」の具体的算定基準や方法を示し切れていないのが現状である。判例が示している「相当の対価」算定のための要素を分析してその問題点を指摘し、「相当の対価」は、権利の承継時を基準にして算定すべきであり、権利承継後の事情である「会社が受けた利益額」は「参考資料」とし、これらが権利承継の時点にあっては将来の不確定な事情であったことを考慮して評価し直す必要があることを明らかにした。そして、IP価値評価として確定した感のあるDCF法が、将来の不確定要素を割引率に反映させ、現在価値を算定していることに着目し、実際に会社が受けた利益は権利承継時点では不確定要素であることから、これを割引率で割り戻すことによって、権利継承時点での「相当の対価」を算定すべきであると提言する。
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