「知財管理」誌
Vol.46 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 46巻(1996年) / 8号 / 1199頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 遺伝子関連発明における「付加、欠失、置換」型クレーム(その1) |
著者 | 滝井朋子、清藤宏二 |
抄録 | 遺伝子関連発明において、開発された具体的アミノ酸の配列の一部につき、「付加、欠失、置換」等が施されたものであって、その目的の活性を有するもの、を対象とする物質特許が認められて来ている。 この型のクレームは、その対象物質の範囲が必ずしも明確ではなく、実験を経なければその物質であることが確認できないことから、結局、明確性と開示十分性とにおいて問題があるとされる。しかし、この種の遺伝子関連発明には、そのアミノ酸配列に近い構造のものは同様に活性を有する蓋然性が極めて高いという非常に顕著な特殊性がある。そこで、この型のクレームがこの構造的要件と、その活性を有する旨の機能的要件(しかし実質的にはこれを有しないものを覗く趣旨の消極的機能的要件)とによって対象物質を特定することはやむを得ない選択として許されるべきものだと考える。これを認めているヨーロッパ及びこれを認めないアメリカの実務の傾向をあわせて、この問題を検討した。 |