「知財管理」誌
Vol.46 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 46巻(1996年) / 3号 / 387頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 肖像・氏名等に関する権利 ―パブリシティの権利とプライバシーの権利の現状― |
著者 | 田代貞之 |
抄録 | ・情報のデジタル化・ネットワーク化の時代において個人の肖像・氏名は音楽・映像などの著作物を同様に利用ニーズの高い情報である。 ・肖像権は個人の肖像・氏名などの人的属性(Identity)の利益を守る権利である。肖像・氏名の利益には人格的な側面と財産的な面があることから肖像権には人格権的肖像権と財産権的肖像権とがある。前者をプライバシーの権利、後者をパブリシティの権利の一環として把握できる。 ・肖像権法という成文法はなく肖像権は憲法上の基本的人権や民法上の不法行為の解釈を通じて判例により承認されている権利である。これまで判例は肖像・氏名の無断利用に対して損害賠償と差止の請求を認めている。 ・その生い立ちが判例に基づくゆえに肖像権は権利の輪郭が不鮮明である。保護対象となる人的属性の範囲、権利の譲渡性、権利の存続期間、権利の効力範囲と権利制限などの未解決の領域についての学説や判例の蓄積が期待される。 |