「知財管理」誌
Vol.46 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 46巻(1996年) / 12号 / 1881頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 判定制度の意義とその活用 |
著者 | 園田敏雄 |
抄録 | この度の法改正によって、特許前の意義申立制度が廃止されて、特許後の意義申立制度が新設された。他方、明細書の記載要件、明細書の記載についての拒絶事由が緩和されたと言われており、また、特許発明の技術的範囲を解釈するについて「明細書の発明の詳細な説明を考慮する」旨の規定が新たに設けられた。 特許権の設定登録のための審査、特許権の無効に関する審判、特許発明の技術的範囲についての判定の有様、特許侵害の訴訟における特許発明の技術的範囲の解釈の有様が、このように法改正がなされたことによって今後どのように変化していくかは予測し難いところであるが、安定的な特許権を取得し、特許発明の技術的範囲を確認し、公知技術を利用する公衆の自由権を保全することについての関係者の責任は一層重くなるように思える。 他方、特許庁は、無効審判、訂正審判、判定等のいわゆる当事者系事件についてその処理機関を原則として1年以内とし、そのための運用について特別な方策を講じた。また、出願件数、取得した特許権の数を主なバロメーターとするのではなく、特許活動の内容的な充実を図り、もって企業の利益の各台に積極的に寄与することが企業の特許部門にとってますます重要になるように思量される。このような状況を踏まえると、これまであまり利用されて来なかった判定制度を積極的に活用することは、効果的、効率的に特許活動を遂行する上で有意義であろう。そして、判定制度が積極的に活用されるようにするためには、躊躇することなく判定を請求し合える雰囲気、環境を作ることが重要である。以下には、判定制度とその活用を中心として筆者が思うところを述べてみたい。 |