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専門委員会成果物
IPRにおいて無効とされたクレームに対する特許料の支払いは,合衆国憲法の修正第5条および違法徴収に該当しないと判断された事例
CAFC判決 2020年8月24日Christy, Inc., et al. v. United States
[経緯]
Christy, Inc.(C社)は,2006年に特許7,082,640(’640特許)を取得し,2014年に競合企業2社を特許侵害で訴えた。被告のうち1社が’640特許にIPRを申し立てて,クレームの多くが無効とされた。CAFCもこの判断を支持した。
C社は合衆国連邦請求裁判所(Court of Federal Claims)において,修正第5条の収用条項やそれに代わる違法徴収など6つの主張を挙げ,支払った特許料,開発費,IPR費用等をまとめた補償を米国政府に求める訴訟を起こした。請求裁判所は,修正第5条の収用条項については事物管轄権があるとした一方で,C社が救済請求を述べていないとし,IPRにおけるクレームの無効審決によってC社の私有財産の補償をするべきとはならないと判断した。
C社はCAFCへ上訴した。
CAFCは,当該訴訟の口頭審理の直後に出されたGolden v. United States, 955 F.3d 981(Fed. Cir. 2020)の判決を引用し,請求裁判所に修正第5条の収用に関する管轄権があること,及び,C社が’640特許のクレームの無効審決に基づく収用に対する妥当な主張をしておらず,IPRにおけるクレームの無効審決は修正第5条の収用には当たらないこと,について請求裁判所の判断を支持した。
次にCAFCは,C社が違法徴収に関する十分な主張をしていなかったと請求裁判所が判断したことが誤りであったのか否かについて述べた。違法徴収は,請求者が法などに違反して不適切に徴収した際に生じるものである。よって,PTABによるクレームの無効審決によりC社の修正第5条の権利が侵害されたわけではないとされた。代わりに,米国特許庁が特許料の支払いをC社に求めたこと自体が誤りであり,C社が特許料は返済されるべきという主張をするべきであるとした。C社はIPRにおける’640特許のクレームの無効審決は米国特許庁がクレームの発行を認めたことに誤りがあったと自認することに相当すると主張をした。
これに対しCAFCは,発効後の手続きの結果に関係なく,特許の年金等を支払うことは法において定められているとし,C社の支払いは米国特許庁の誤りではなく法の求めに従ったものであるから,違法徴収ではないとした。
C社は合衆国連邦請求裁判所(Court of Federal Claims)において,修正第5条の収用条項やそれに代わる違法徴収など6つの主張を挙げ,支払った特許料,開発費,IPR費用等をまとめた補償を米国政府に求める訴訟を起こした。請求裁判所は,修正第5条の収用条項については事物管轄権があるとした一方で,C社が救済請求を述べていないとし,IPRにおけるクレームの無効審決によってC社の私有財産の補償をするべきとはならないと判断した。
C社はCAFCへ上訴した。
[CAFCの判断]
CAFCは請求裁判所の判断を支持した。CAFCは,当該訴訟の口頭審理の直後に出されたGolden v. United States, 955 F.3d 981(Fed. Cir. 2020)の判決を引用し,請求裁判所に修正第5条の収用に関する管轄権があること,及び,C社が’640特許のクレームの無効審決に基づく収用に対する妥当な主張をしておらず,IPRにおけるクレームの無効審決は修正第5条の収用には当たらないこと,について請求裁判所の判断を支持した。
次にCAFCは,C社が違法徴収に関する十分な主張をしていなかったと請求裁判所が判断したことが誤りであったのか否かについて述べた。違法徴収は,請求者が法などに違反して不適切に徴収した際に生じるものである。よって,PTABによるクレームの無効審決によりC社の修正第5条の権利が侵害されたわけではないとされた。代わりに,米国特許庁が特許料の支払いをC社に求めたこと自体が誤りであり,C社が特許料は返済されるべきという主張をするべきであるとした。C社はIPRにおける’640特許のクレームの無効審決は米国特許庁がクレームの発行を認めたことに誤りがあったと自認することに相当すると主張をした。
これに対しCAFCは,発効後の手続きの結果に関係なく,特許の年金等を支払うことは法において定められているとし,C社の支払いは米国特許庁の誤りではなく法の求めに従ったものであるから,違法徴収ではないとした。
(田島 潤子)
