- トップ
- 協会活動
- 専門委員会成果物
- 外国特許ニュース(2020)
- 2月号 欧州(2)
専門委員会成果物
欧州特許庁審判部手続規則の改正(2020年1月1日施行)
EPOのウェブサイト1)によると,本改正規則の目的は以下である。加えて,審判部の仕事をオーガナイズ(管理)し,より効率的にリソースを使用するために案件管理の重要な要素・ジェンダーニュートラルの観点が導入された。
- 審判部に扱われる案件数を減らすことによる「効率化」,
- 当事者に対する「予見性」,
- 「ハーモナイゼーション」
本改正規則は,施行日以降の案件のみならず,既に審判請求手続が係属中の案件にも原則適用される(25条(1))。
同ウェブサイトには改正点について新旧対比へのアクセス情報2)も含まれるため詳細はそちらを確認されたいが,
主な改正点について簡単に記載する。
第10条(審判手続の統合と促進)
審判手続促進のために,分割出願,親出願,同じ案件に優先権主張している案件などの審判が存在する場合は, それぞれの案件と連携して進めることや,当事者による審理促進申請の際に理由を提出するよう定めているものの従来要求されていた“legitimate
interest”(正当な利害関係)は不要とし,その結果は理由と共に当事者に知らされる旨規定している。10条(4)では裁判所への促進申請について,裁判所はUnified
Patent Court(UPC)も含むことを明記している。また,促進申請の無い審判案件も審判部が独自に促進を進めることができる(10条(5))。
第11条(差戻し)
規則改正により,特別の場合を除いて,第1審への差し戻しは行われないと規定された。審判部と第1審のやりとりの発生を抑えることを目的としたものである。
第12条(審判手続の原則)
確立された判例法に従い審判手続の性質と範囲について確認する規定が12条(2)として新設された。当事者系審判は,審判対象の決定の基礎となる請求,事実,主張および証拠を対象とする旨が規定された。
第13条(当事者系審判における補正)
審判理由またはそれに対する応答後に行う補正について規定され,13条(1)では審判部の裁量により認められる
こと,13条(2)は審判部によって設定された期限または召喚状の通知後に行われた補正は,原則考慮されないことを
規定している。
(参照情報)
1)EPOニュース(2019年7月4日)
https://www.epo.org/law-practice/case-law-appeals/communications/2019/20190704.html
(参考情報)
2)RULES OF PROCEDURE OF THE BOARDS OF APPEAL OF THE EUROPEAN PATENT OFFICE
IN FORCE FROM 1 JANUARY 2020
http://documents.epo.org/projects/babylon/eponet.nsf/0/E4000AA7677433BFC125842D002C1078/$File/RPBA_2020_communication_en.pdf
(参照日:2019年12月27日)
(井波 ゆき恵)
