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専門委員会成果物
プリアンブルが先行的な基礎としてクレームボディの用語に貢献している場合にプリアンブルは限定であると判断された事例
CAFC判決 2019年11月4日In Re:David Fought, et al.
[経緯]
出願人は,複数の区画を有するトラベルトレーラの構造に関する特許出願13/507,528(’528出願)を行った。 審査官は,’528出願のクレーム1に関し,冷蔵トレーラのような従来のトラックトレーラを開示する先行文献
Dietrichを引用し,クレーム2に関しては,運送用の区画の隔壁を開示する先行文献McDougalを引用して,特許法102条(b)違反で拒絶した。
出願人は,「トラベルトレーラ」が牽引可能なレクリエーションタイプの車両であることを開示している先行文献Millerを外因性証拠として引用して応答したが,審査官は拒絶を維持した。
出願人は,特許審判部に審判請求を行い,Woodallのガイドブックを外因性証拠として追加引用した。さらに,出願人は,審査官が当業者の通常のスキルレベルについて言及せずに特許法102条違反でクレームを拒絶するのは誤りだと主張した。特許審判部は,当業者の通常のスキルレベルについて言及すべきという出願人の主張に触れずに,プリアンブルである「トラベルトレーラ」は単に使用目的を示しクレームを限定しないものと結論づけて,審査官の拒絶を支持した。
出願人は控訴した。
CAFCは,外因的証拠として引用された先行文献の開示から,「トラベルトレーラ」は居住空間を有するレクリエーションタイプの車両を示すと認定し,牽引可能な点と居住空間を有する点は構造的な要件であるとして,「トラベルトレーラ」はクレームを構造的に限定するものと認定した。
CAFCは,特許審判部による「トラベルトレーラ」のクレーム解釈は誤りとして破棄し,差し戻した。
なお,CAFCは,特許権者が当業者の通常のスキルレベルを議論の対象としておらず,そのレベルを明確にすること で結果が変わるという特異性を説明していないのであれば,特許審判部も審査官も,当業者の通常のスキルレベルを 明確化する必要はないと説明した。
出願人は,「トラベルトレーラ」が牽引可能なレクリエーションタイプの車両であることを開示している先行文献Millerを外因性証拠として引用して応答したが,審査官は拒絶を維持した。
出願人は,特許審判部に審判請求を行い,Woodallのガイドブックを外因性証拠として追加引用した。さらに,出願人は,審査官が当業者の通常のスキルレベルについて言及せずに特許法102条違反でクレームを拒絶するのは誤りだと主張した。特許審判部は,当業者の通常のスキルレベルについて言及すべきという出願人の主張に触れずに,プリアンブルである「トラベルトレーラ」は単に使用目的を示しクレームを限定しないものと結論づけて,審査官の拒絶を支持した。
出願人は控訴した。
[CAFCの判断]
CAFCは,プリアンブルが先行的な基礎としてクレームボディの用語に貢献している場合,プリアンブルは限定である とした。その上で,CAFCは,特許審判部がプリアンブルの「トラベルトレーラ」を,使用目的に過ぎず構造的に限定しないものと判断した点に同意しなかった。CAFCは,外因的証拠として引用された先行文献の開示から,「トラベルトレーラ」は居住空間を有するレクリエーションタイプの車両を示すと認定し,牽引可能な点と居住空間を有する点は構造的な要件であるとして,「トラベルトレーラ」はクレームを構造的に限定するものと認定した。
CAFCは,特許審判部による「トラベルトレーラ」のクレーム解釈は誤りとして破棄し,差し戻した。
なお,CAFCは,特許権者が当業者の通常のスキルレベルを議論の対象としておらず,そのレベルを明確にすること で結果が変わるという特異性を説明していないのであれば,特許審判部も審査官も,当業者の通常のスキルレベルを 明確化する必要はないと説明した。
(大沢 真一)
