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- 1月号 米国(6)
専門委員会成果物
カナダにおける特許法の一部改正及び新たな特許規則の施行について
[経緯]
カナダは2019年7月30日付でPatent Law Treaty(PLT)を批准したことに基づき,手続きに係る事項を対象に,
2019年10月30日付で特許法の一部改正及び新たな特許規則を施行した。旧法および旧規則からの変更点は多岐に
渡るが,手続きの時期的要件が変更されたもの,手続き自体が大幅に変更されたもの等,特に重要と考えられる
事柄(1)〜(6)について解説する。
- 審査請求期限
旧規則では,通常の出願の場合,PCT国際出願日又はカナダ出願日より5年とされていたが,新規則では4年へと 大幅に短縮された。分割出願においても同様に請求期間が短縮されている。旧規則では,原出願日より5年又は 分割出願の日から6ヶ月のいずれか遅い日までだったものが,新規則においては,施行日以降に出願された分割 出願であって,原出願日が施行日以前の場合は,原出願日から5年又は分割出願の日から3ヶ月のいずれか 遅い日まで,原出願日が施行日以降の場合は,原出願日から4年又は分割出願の日から3ヶ月のいずれか遅い 日までとなった。いずれも期間が短縮されており,期限管理には細心の注意が必要である。 - 審査官通知への応答期限
旧規則では当該通知への応答期間は6ヶ月,早期審査手続きを行った場合には3ヶ月であったが,新規則では いずれも4ヶ月となった。応答期間満了前に延長の申し出を行い,特許庁長官が期間を延長することが正当であると 認めた場合,200カナダドルを支払うことで最大2ヶ月の延長を認める制度も導入された。したがって,新規則に おいても,実質的に応答期間に変更はないと考えることもできるが,手続きが煩雑になった点及び追加費用を 必要とする点に気をつけなければならない。なお,早期審査手続きを行っている場合には期間延長することで 早期審査が解消され,通常審査の扱いとなるため注意が必要である。 - 出願維持費用の支払い
新法において,出願維持費用の納付期限を徒過してしまった場合に,特許庁から出願人に費用が納付されて いない旨の通知がなされることとなった。当該通知日から2ヶ月又は原納付期限日より6ヶ月のいずれか遅い 日までに維持費用及び150カナダドルを支払うことにより維持が可能となった。当該期間を経過した場合には 放棄となってしまうため注意が必要である。 - 特許発行費用の支払い
旧規則では特許許可通知から6ヶ月以内の納付が認められていたが,新規則では4ヶ月に短縮された。 期間の延長は認められないため,厳密な期限管理が必要となる。 - 特許許可通知後の審査再開 旧規則では,許可通知後に審査を再開させるためには,特許発行費用を支払わずに出願放棄とし,その後 特許出願の回復申請を行い審査に再係属させることが必要であった。新規則においては,特許発行費用を 支払う前に,特許許可通知の取り下げ申請を行い,400カナダドルの手数料を支払うことにより審査の再開が 可能となり,手続きが簡便となった。
- 特許成立後の手続きの改正
特許維持費用の支払い期限を徒過してしまった場合についても,新法において(3)と同様の改正が行われた。 また,旧法においては,限られた理由及び範囲ではあるが,無期限で認められていた誤記の訂正が,新規則に おいては,登録後12ヶ月以内のみ可能とされた点について注意が必要である。
(間中 知幸)
