専門委員会成果物
欧州特許庁,2017年品質報告書を発行
6月19日,欧州特許庁(EPO)は品質報告書(Quality Report)の第2版を発行した。この報告書は2016年版と比較して,高品質の製品やサービスを供給するための既存および新しい仕組みについて,
より広範囲で詳細な情報を提供している。
EPO長官Beno?t Battistelli氏は「品質は我々の最優先事項であり,2017年も不断の変革と努力の強化により,この領域における優位性の維持に努めた」「この報告書により,最高品質の特許を 提供するために取組んでいる我々の行動をユーザに完全に理解してもらえる」と語った。
昨年,EPOは2016年を対象とした最初の品質報告書を発行した。ユーザ団体や関係者は透明性を高めるこの取組みを歓迎した。2017年を含む第2版にはEPOの品質管理システムの最新詳細情報と, 品質向上のため2017年に取組んだ下記に示す様々な取組みが掲載されている。
EPO長官Beno?t Battistelli氏は「品質は我々の最優先事項であり,2017年も不断の変革と努力の強化により,この領域における優位性の維持に努めた」「この報告書により,最高品質の特許を 提供するために取組んでいる我々の行動をユーザに完全に理解してもらえる」と語った。
昨年,EPOは2016年を対象とした最初の品質報告書を発行した。ユーザ団体や関係者は透明性を高めるこの取組みを歓迎した。2017年を含む第2版にはEPOの品質管理システムの最新詳細情報と, 品質向上のため2017年に取組んだ下記に示す様々な取組みが掲載されている。
- ISO 9001の再認証について
2017年12月,EPOは特許プロセス全体に対する品質管理システムのISO 9001再認証を,不適合事例なしで取得した。 - 品質と内部再編について
第2版は最近のEPO内部の組織再編が品質と効率の向上にどのように貢献しているかを説明している。新体制では,特許審査官と手続担当者が同じ部門で連携し,部門内での引き継ぎの削減と品質改善の機会向上につながっている。新たに異議申立とその事務手続管理を扱う職を設定した。この職は選ばれた審査官と専門事務管理職500名からなる。これは異議申立にかかる専門知識が集中されることで,結果的に品質と調和が改善されることを意味している。 −適時性の改善について 適時性はEPOの品質方針の不可欠な部分である。2017年には,調査,審査,異議申立手続を完了するのに必要な時間が大幅に短縮された。例えば調査分野において,EPOは申請から6ヶ月以内に 包括的な調査と見解書を作成するという目標をすでに達成している(さらにそれを上回っている)。 - アジアの先行技術の役割について
EPOの特許審査官によるアジアの先行技術の利用拡大も強調されている。これは審査官による特許翻訳の使用,訓練努力,CPC(Cooperative Patent Classification)の世界的な使用の 増加およびツールの改善といった現在取組んでいる方策の結果である。 - 拡大された資料について
包括的かつ完全な資料コレクションを作成するためのEPOの努力により10億件を超える技術記録と5,000万件のアジア系特許資料が準備され,高品質な調査が保証されている。例えば,EPOは近年, 標準に関連する資料の入手に非常に積極的であり,データコレクションには300万件を超える標準記録がある。出願人および一般の人々が利益を得ることのできる高品質の調査報告書を提供するために, 審査官はこれらの資料にアクセスする。 - 拡張されたユーザ対話について
品質報告書は,ユーザおよび関係者との集中的な対話に焦点を当て,フィードバックがEPOの品質管理システムの不可欠な部分であることを強調している。EPOの年間ユーザ満足度調査にはユーザとの 約5,000件のインタビューも含まれている。例えば,最近の調査結果によると,2015年から2017年の間に,特許管理サービスのユーザ満足度は80%から89%に上昇した。
EPOニュース(2018年6月19日)
EPO publishes Quality Report 2017
http://www.epo.org/news-issues/news/2018/20180619.html
(参照日:2018年6月26日)
(三野 一学)