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専門委員会成果物
関連するpost-URAA特許よりも先に発行されたが,後に満了したpre-URAA特許は,そのpost-URAA特許に対する自明型ダブルパテントにならないと判断した事例
CAFC判決 2018年12月7日Novartis Pharmaceuticals Corporation, et al. v. Breckenridge Pharmaceutical Inc., et al.
[経緯]
ウルグアイ・ラウンド協定法(URAA)の施行日である1995年6月8日以前に出願された特許(pre-URAA特許)の特許期間は,特許発行日から17年間である。一方,上記施行日以後に出願された特許
(post-URAA特許)の特許期間は,最先の有効出願日から20年間である。
Novartis Pharmaceuticals Corporation(N社)等は,pre-URAA特許に該当する特許5,665,772(’772特許)と,post-URAA特許に該当する特許6,440,990(’990特許)とを有している。 これらの特許は有効出願日,および明細書の記載内容が共通しており,お互いに関連した内容である。この’990特許は,’772特許よりも後に出願および特許発行されたが,URAAが適用された結果, ’772特許よりも先に満了した。
N社は’772特許の特許権侵害を理由としてBreckenridge Pharmaceutical Inc.(B社)等を地裁に提訴した。地裁は,’772特許は’990特許に対する自明型ダブルパテントであるため, ’772特許は無効であると判決した。N社は,この判決を不服として,CAFCに控訴した。
Gilead判決(Gilead Science, Inc. v. Natco Pharma Ltd., 753 F.3d 1208, 1212(Fed. Cir. 2014))において,CAFCは,他の特許よりも先に発行され,かつ後に満了した一の特許は, 当該他の特許に対する自明型ダブルパテントになること,および特許の満了日が自明型ダブルパテントの判断基準になることを示した。しかしながら,Gilead判決で争点となった2つの特許は いずれもpost-URAA特許であり,今回のケースにあてはまらないとCAFCは述べた。
CAFCは,post-URAA特許とpre-URAA特許との間で,自明型ダブルパテントの判断を行う場合,特許発行日に基づくと判断した。そして,CAFCは,今回の判決が,pre-URAA特許は, pre-URAA特許に適用される特許期間とpost-URAA特許に適用される特許期間とのうち,より長い方の特許期間を得られるとしたURAAへの移行規定に合致しており,また,特許期間の 実質的な延長を妨げるとした自明型ダブルパテントの原則にも合致すると述べた。
CAFCは,原判決を破棄し,地裁に差し戻した。
Novartis Pharmaceuticals Corporation(N社)等は,pre-URAA特許に該当する特許5,665,772(’772特許)と,post-URAA特許に該当する特許6,440,990(’990特許)とを有している。 これらの特許は有効出願日,および明細書の記載内容が共通しており,お互いに関連した内容である。この’990特許は,’772特許よりも後に出願および特許発行されたが,URAAが適用された結果, ’772特許よりも先に満了した。
N社は’772特許の特許権侵害を理由としてBreckenridge Pharmaceutical Inc.(B社)等を地裁に提訴した。地裁は,’772特許は’990特許に対する自明型ダブルパテントであるため, ’772特許は無効であると判決した。N社は,この判決を不服として,CAFCに控訴した。
[CAFCの判断]
CAFCは,’772特許が’990特許に対する自明型ダブルパテントであるとする地裁の判断は誤っていたと結論付けた。Gilead判決(Gilead Science, Inc. v. Natco Pharma Ltd., 753 F.3d 1208, 1212(Fed. Cir. 2014))において,CAFCは,他の特許よりも先に発行され,かつ後に満了した一の特許は, 当該他の特許に対する自明型ダブルパテントになること,および特許の満了日が自明型ダブルパテントの判断基準になることを示した。しかしながら,Gilead判決で争点となった2つの特許は いずれもpost-URAA特許であり,今回のケースにあてはまらないとCAFCは述べた。
CAFCは,post-URAA特許とpre-URAA特許との間で,自明型ダブルパテントの判断を行う場合,特許発行日に基づくと判断した。そして,CAFCは,今回の判決が,pre-URAA特許は, pre-URAA特許に適用される特許期間とpost-URAA特許に適用される特許期間とのうち,より長い方の特許期間を得られるとしたURAAへの移行規定に合致しており,また,特許期間の 実質的な延長を妨げるとした自明型ダブルパテントの原則にも合致すると述べた。
CAFCは,原判決を破棄し,地裁に差し戻した。
(山田 賢治)