専門委員会成果物
SAS判決及びAqua判決を考慮し，特許審判部の最終決定の一部を支持，一部を破棄及び差し戻した事例
CAFC判決 2018年６月19日Sirona Dental Systems GmbH v. Institut Straumann AG, et al.
［経緯］
Institut Straumann AG（Ｉ社）はSirona Dental Systems GmbH（Ｓ社）が保有する歯のインプラントのための穿孔補助手段の製造方法に関する特許6,319,006（’006特許）の
クレーム１-10に対して複数の無効理由を以ってIPR2015-01190（’190IPR）を請願し，特許審判部は一部の無効理由について審理を開始した。また，Ｓ社は補正の申立を行い，代替クレーム11-18を
提案した。その結果，特許審判部はクレーム１-８の特許性を否定し，クレーム９及び10の特許性を肯定した。また，代替クレーム11-18の特許性を否定し，補正の申立を否認した。
Ｓ社は’190IPRの最終決定において�．�レーム１-８の特許性が請願書で提起されていない無効理由によって否定されたことと，�∧篝気凌塾�における立証責任を自身に課せられたことを不服とし， これらの再審査を求めてCAFCに控訴した。一方，Ｉ社は��クレーム９が代替クレーム11に近いことから，クレーム９及びその従属項であるクレーム10の特許性の判断に補正の申立の否認理由を 適用すべきとし，これらクレームの再審査を求めてCAFCに控訴した。
また，上記�△亡悗掘�Aqua判決（Aqua Prods., Inc. v. Matal, 872 F.3d 1290, 1324-25（Fed. Cir. 2017））の中で補正の申立の立証責任は請願者側にあるとしたことに触れ，今回のケース では特許審判部の最終決定がAqua判決前であったにしろ，特許審判部は不適切に立証責任を特許権者側に課したと判断した。
また，上記��に関し，請願者は請願書において，特許審判部が補正の申立の否認理由の根拠とした文献を挙げておらず，当該文献に基づく無効理由をクレーム９及び10の特許性判断に 適用することは，実質的に請願書に新たな文献を追加することとなるとし，特許審判部が請願書で提起されていない無効理由を認めなかったことに何ら誤りはないと判断した。
以上のことから，CAFCは特許審判部の最終決定における上記�ゝ擇咯綉���を支持した。一方，上記�△亡悗靴討惑亡�及び差し戻した。
Ｓ社は’190IPRの最終決定において�．�レーム１-８の特許性が請願書で提起されていない無効理由によって否定されたことと，�∧篝気凌塾�における立証責任を自身に課せられたことを不服とし， これらの再審査を求めてCAFCに控訴した。一方，Ｉ社は��クレーム９が代替クレーム11に近いことから，クレーム９及びその従属項であるクレーム10の特許性の判断に補正の申立の否認理由を 適用すべきとし，これらクレームの再審査を求めてCAFCに控訴した。
［CAFCの判断］
CAFCは上記�，亡悗掘�SAS判決（SAS Inst., Inc. v. Iancu, 138 S. Ct.1348, 1356（2018））や制定法を考慮すると，IPRは特許審判部の自由裁量ではなく，請願書に沿って進めるべきで あると説示した上で，今回のケースでは特許審判部が請願書に記載された表現を別の表現に言い換えただけに過ぎず，請願書で提起された無効理由から逸脱したわけではないと判断した。また，上記�△亡悗掘�Aqua判決（Aqua Prods., Inc. v. Matal, 872 F.3d 1290, 1324-25（Fed. Cir. 2017））の中で補正の申立の立証責任は請願者側にあるとしたことに触れ，今回のケース では特許審判部の最終決定がAqua判決前であったにしろ，特許審判部は不適切に立証責任を特許権者側に課したと判断した。
また，上記��に関し，請願者は請願書において，特許審判部が補正の申立の否認理由の根拠とした文献を挙げておらず，当該文献に基づく無効理由をクレーム９及び10の特許性判断に 適用することは，実質的に請願書に新たな文献を追加することとなるとし，特許審判部が請願書で提起されていない無効理由を認めなかったことに何ら誤りはないと判断した。
以上のことから，CAFCは特許審判部の最終決定における上記�ゝ擇咯綉���を支持した。一方，上記�△亡悗靴討惑亡�及び差し戻した。
（川部 浩俊）
