専門委員会成果物

USPTOのIPRの最終決定は他のIPRにも争点効が生じると判断した事例

CAFC判決 2018年1月25日
MaxLinear, Inc. v. CF Crespe LLC

[経緯]

 MaxLinear, Inc.(M社)はCF Crespe LLC(C社)が保有するブロードバンドテレビ信号受信機に関する特許7,075,585(’585特許)のクレーム1-21に対してIPR2015-00592(’592IPR)を請願し, USPTOはクレーム1-4,6-9及び16-21に対して審査を開始した。USPTOは最終決定において,独立クレームであるクレーム1及び17の特許性はあると判断した。また,従属クレームであるクレーム2-4,6-9, 16及び18-21についても,同様に特許性はあると判断した。
 一方で,’585特許を対象とした他のIPR,IPR2014-00728(’728IPR)及びIPR2015-00615(’615IPR)において,’728IPRではクレーム1-3,5,10及び16-19の特許性が否定され,’615IPRでは クレーム20の特許性が否定された。
M社は’592IPRの決定を不服とし,’592IPRより先に最終決定された’728IPRで特許性が否定されていないクレーム4,6-9及び20-21の再審査を求めてCAFCに控訴した。  

[CAFCの判断]

 CAFCは,行政機関の判断に争点効(collateral estoppel又はissue preclusion)が生じることについて,B&B Hardware事件の最高裁判決を引用し,’728IPRと’615IPRは争点効を 有すると判断した。’592IPRがUSPTOに係属中に’728IPRの最終決定がなされたことや,他のIPRの請求人がM社と異なることは争点効には影響しないと言及した。したがって,クレーム1,17, 及び20は現段階で特許性が否定されていると指摘した。
 以上のことから,CAFCはUSPTOの最終決定を棄却及び差し戻し,クレーム4,6-9及び21の特許性について検討するよう指示した。

(川部 浩俊)

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