「知財管理」誌
Vol.71 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 71巻(2021年) / 7号 / 925頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 2020年の欧州裁判例を踏まえた FRANDライセンス交渉についての考察 |
著者 | 松永章吾 |
抄録 | 標準化団体が定めるIPRポリシーは、SEP保有者と実施者がどのようにFRANDライセンス交渉を行えば良いのかという具体的な行為規範を提供するものではないため、交渉の当事者は、法廷地となり得る各国の裁判例を注視して行動予測を立てるほかはない。かかる裁判例としては、これまで2015年に言渡された欧州司法裁判所のHuawei v. ZTE事件判決が示したFRANDライセンス交渉のフレームワークが参照されてきた。しかし、IoTの進展により異業種間でのFRANDライセンス交渉も始まる中、2020年にこれを修正して実施者に厳しいフレームワークを示すドイツ連邦最高裁判決や、そのようなフレームワークを示さずにSEPに基づく差止を認容する英国最高裁判決が言渡されたほか、異業種を含む実施者に対する数多くの差止認容判決の言渡しが続き、今後もそのような傾向が続くものと予想されている。そこで本稿では、権利者保護への揺り戻しの年とも言われる2020年の欧州裁判例を振り返るとともに、FRANDライセンス交渉を行う当事者が注意すべきポイントについて考察する。 |
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