「知財管理」誌
Vol.71 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 71巻(2021年) / 4号 / 566頁 |
論文区分 | 特集(ヘルスケア×知財) |
論文名 | COVID-19パンデミックにおける公衆衛生と特許 |
著者 | 中山一郎 |
抄録 | COVID-19対策としてワクチン・治療薬等の開発が進み、一部使用も開始される中で、ワクチン・治療薬等についての特許がそれらへのアクセスを妨げることがないかという問題が生じる。公衆衛生と特許の緊張関係が先鋭化した例としてはエイズ薬をめぐる医薬品アクセス問題がある。そこで本稿では、まず、エイズ薬の医薬品アクセス問題をはじめとする従来の議論を振り返る。次に、COVID-19パンデミック下において、強制実施権を志向するアプローチと権利者の自発的取組みを志向するアプローチがせめぎあう現状を分析する。その上で、今後の展望として、安全で有効なワクチン・治療薬の開発が最優先課題である現状では、自発的取組みを志向するアプローチの優先順位が高いと考えられるものの、強制実施権について検討する意義も失われず、その際にはより有効な手段と考えられる政府使用の導入などの立法論も含めて検討を深めていく必要があること、ただし、強制実施権(又は政府使用)が有効に機能するのは一定の前提の下であることを論じる。 |
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