「知財管理」誌
Vol.69 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 69巻(2019年) / 4号 / 584頁 |
論文区分 | 特集(特集:つながりと知財 第3部 価値を見出す) |
論文名 | 欧州・ドイツにおけるデザイン保護の動向とわが国の意匠法への示唆─「物品」の位置づけをめぐって─ |
著者 | 本山雅弘 |
抄録 | 目下の意匠法改正論議で焦眉の課題ともいえる画像デザインの保護拡充論は、その議論の実質に照らし、わが国の意匠法の特色である「意匠の物品性」(意匠法2条1項)の再考論とも無関係ではない。そこでは、意匠法における「物品」の位置づけが問われる。この点の考察にあたり、意匠権の効力に「物品」の制約を課さない欧州・ドイツの意匠法は、「物品」の扱いをわが国と異にするものとして、興味深い比較法研究の対象となり得る。その若干の研究を試みるのが本稿である。それによれば、欧州法・ドイツ法のもとでは、「物品」が意匠法体系内に不可欠の要素として位置づけられる一方で、「物品」概念を巧みに用い、そこに無体物たる画像等をも包摂させることにより、論理的にはわが国の「意匠の物品性」の発想とも矛盾を生じさせることなく、画像デザイン・タイプフェイス等の無体的デザインの保護を可能としていることが、まず示される。また、他方で、「物品」の制約を受けない意匠権という発想が、登録要件なり侵害関係の判断場面で、わが国には未経験の解釈論上の論争を少なからず発生させていることも、示される。 |
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