「知財管理」誌
Vol.68 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 68巻(2018年) / 3号 / 371頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 479) |
論文名 | (No. 479) 『主引例と副引例との組合せの適切性』と『容易の容易』が争われた事例─『消せるボールペン発明』特許無効審決の取消訴訟─ |
著者 | 植木久一 |
抄録 | 可逆熱変色性インキを充填した筆記具に摩擦体が一体装着された、所謂「消せるボールペン」に係る発明の特許性が争われた事件を紹介する。主引例は同様性能のインキと、これを充填した筆記具に関するが、原告によれば『熱で消す』というのみで、摩擦体を用いて消色することについては具体的開示がない。主引例との重要な相違点(摩擦熱で筆跡を消去するための摩擦体の素材選択並びに一体装着)に関し、主引例に副引例及び周知慣用技術(消しゴム付き鉛筆)を組合せることで進歩性を否定することの適否が争われた。併せて『容易の容易』論も展開された。事件のキーとなった主・副引例が原告自身の先願・先公開公報であり、先願・先公開技術を更に発展させた新しい発明を権利化・権利維持することの難しさを改めて浮き彫りにしている。本稿では、発明の技術内容、補正、訂正の経緯をレビューしつつ、本判決(特許有効)の意義と実務における留意事項を検討する。 |
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