「知財管理」誌
Vol.68 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 68巻(2018年) / 3号 / 284頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 米国の特許訴訟の限定的裁判地をめぐるTC Heartland最高裁判決とその後の判決─外国企業は従来通りどの裁判地でも提訴可能の新判決─ |
著者 | 服部健一 |
抄録 | 米国の司法手続法第1400条(b)は、特許訴訟の裁判地については「被告が居住している(reside)地」、と規定している。しかし、議会は一般民事訴訟の裁判地について第1391条(c)に、企業は「人的管轄権があればそこに居住している(reside)とみなされる」と規定したので、CAFCは、第1400条(b)の裁判地は、「被告がビジネスを行っていて人的管轄権がある地」であればよいと1990年以来判決してきた。そのため、裁判地の選択肢が広くなり、原告は自身に有利な裁判地で特許訴訟を提起することが出来た。 しかし、最高裁判所はTC Heartland判決で第1400条(b)の「居住している地」とは、国内企業の場合、「登録している州」であるとCAFC判決を破棄したので裁判地は限定され、最近は特定の裁判地での特許訴訟は確実に減少している。一方、既に訴訟が進んでいる事件では訴訟経済の観点から却下や移管が簡単には認められない判決が最近数件出されている。その中にあって、被告が外国企業の場合はTC Heartland判決後も従来通り全米のどの裁判地でも人的管轄権がある限り提起できるという3G Licensing地裁判決が2017年12月に出された。 |
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