「知財管理」誌
Vol.68 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 68巻(2018年) / 2号 / 224頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 478) |
論文名 | (No. 478) 商標権に係る権利濫用の抗弁の要件を定めた最高裁判決 |
著者 | 岩坪哲 |
抄録 | 商標法47条1項は商標登録無効審判の除斥期間を5年と定めており、商標権侵害訴訟において被告が同法39条で準用される特許法104条の3第1項を主張することもこの規定により制限されるのが多数説であったが、本判決は最高裁として初めてこれを認めた。一方、商標権の行使が権利濫用に該当する場合にまで期間制限を認めるのは公正な秩序を欠く結果となることから、本判決は被疑侵害者が自己使用周知商標との類似を理由とする商標法4条1項10号違反の無効理由を主張する場合には権利濫用の抗弁が許されるとした。他方、本件は、原審認定の事実関係のもとで被疑侵害者(不正競争防止法に基づく本訴差止請求原告)の商標が需要者に周知されていたとはいえないとして原判決を破棄した。本訴原告は取扱い製品につき米国の輸出元から独占的販売権を得ていた事実関係があり、輸出元から商標権の独占使用権の許諾を受ける等、紛争の予防策を採ることが可能であったと思われる。 |
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