「知財管理」誌

Vol.68 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 68巻(2018年) / 1号 / 91頁
論文区分 海外注目判決(No. 32)
論文名 (No. 32) [米国]ラッチスの法理に関する最高裁判決
著者 有馬佑輔/ハーマン・パリス/伊東忠重/吉田千秋
抄録  ラッチスの抗弁は、原告の提訴の遅延により被告が不利益を被った場合に、公正さに基づき、不合理に増大した損害賠償から被告を保護する抗弁である。ラッチスの抗弁が認められると、訴状提出前の期間についての損害賠償請求は認められない。2017年3月のSCA Hygiene Prods. Aktiebolag 最高裁判決以前は、米国特許法282条に記載される抗弁に含まれるとして、ラッチスの抗弁を特許侵害に基づく損害賠償の抗弁として認めていた。今般の判決では、米国特許法286条には、特許権者による申し立て前の6年以内になされた侵害行為に対しては損害賠償を回収することが可能とされており、この6年以内でなされた行為に基づく損害賠償請求に対し、ラッチスの抗弁を拒絶した。今般の判決により、訴訟提起のタイミングに大きな柔軟性を与え、被告側にとっては訴訟提起のリスクに晒される期間が延長された。本稿では、今般のSCA最高裁判決を鑑み、特許権者と被告側企業の双方にとっての対応策に関しても検討した。
本文PDF
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.