「知財管理」誌
Vol.67 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 67巻(2017年) / 5号 / 746頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 25) |
論文名 | (No. 25)[米国]ITCの輸入差止権限範囲を判示した重要判決 |
著者 | 吉田直樹 |
抄録 | 2015年に米国控訴裁判所であるFederal Circuitにより下されたSuprema事件判決とClearCorrect事件判決は、クロスボーダービジネスにおいてITCの差止権限範囲がどこまで及ぶのかを判示した今後のビジネスに大きな影響を及ぼす重要判決である。Suprema事件判決は、輸入時に非侵害の有形物でも輸入後に侵害を誘発するものであれば排除命令の対象と考え、ClearCorrect事件判決は、ITCはソフトウェアやデータなど無形物の輸入は排除命令の対象外とした。この2件の判決を総合的に捉えるとオンラインによるクロスボーダービジネスなど、今後増加し続けると考えられるビジネス形態に対して、ITCによる救済の限界が見える判決となった。ITCでの特許権利行使や訴訟リスクを検討している日本企業は、これらの判決を理解しITCの差止権限範囲を把握しておく必要がある。米国特許権利化を進めている企業もまた、これらの判決を踏まえ特許クレームの作成に臨まれたい。 |
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