「知財管理」誌

Vol.66 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 66巻(2016年) / 9号 / 1185頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No. 462)
論文名 (No.462) 特許請求の範囲がサポート要件に適合しないとした事例─回転角検出装置事件─
著者 岩坪哲
抄録  いわゆる偏光フィルム事件知財高裁大合議判決1)が「特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、…発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、…を検討して判断すべきもの」であるとのサポート要件の適合性基準を打ち出して以降、当業者が特許請求の範囲を見ても発明の課題を解決することが認識できないとしてサポート要件違反に問われた判決が、知財高裁において多く下されている。本判決は、かかる知財高裁大合議判決の規範に一見則りながら発明の詳細な説明にも記載のない技術事項が特許請求の範囲に反映されていないことを理由に、本件特許請求の範囲をサポート要件不適合とした事例である。本判決につき、私見は、行き過ぎた特許請求の範囲の記載を要求するものとして判旨に賛成し難い。本稿ではその理由を述べるとともに、本判決後に特許権者が取った対応に基づき、斯かる判決に直面した場合の実務的対応について検討する。
本文PDF
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.