「知財管理」誌
Vol.66 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 66巻(2016年) / 3号 / 243頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | フェアユース再考─TPPによる日本の著作権法の変容を契機として─ |
著者 | 石新智規 |
抄録 | TPP(環太平洋パートナーシップ協定)合意により、日本の著作権法が変容を迫られている。TPPにおいて著作権に関し合意された内容は、著作権保護を強化する方向で米国著作権法を取り込むもののようである。見落してならないのは、米国著作権法には、個別的権利制限規定に加えてフェアユース規定(107条)が存在し、それによって、著作権保護と著作物の利用の適正かつ微妙なバランスが維持されていることである。さらに、フェアユース規定の存在及び裁判所によるその運用が新たな著作物の利用を促すテクノロジーの発展を後押しし、米国におけるIT産業の繁栄を支えてきた側面もある。我が国も、TPP合意に基づき(米国のように)著作権保護を強化するのであれば、それを契機として、保護に傾きすぎず、著作物の利用とのバランスを柔軟に図るために、米国型の一般的な権利制限規定を導入することを再考すべきではないだろうか。 本稿は、米国フェアユース規定の現状を概観し、日本における一般的権利制限規定導入の再考を提言するものである。 |
本文PDF |