「知財管理」誌

Vol.65 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 65巻(2015年) / 3号 / 335頁
論文区分 論説
論文名 記載要件及び進歩性における出願後の証拠による立証
著者 末吉 剛
抄録  当初明細書に直接の記載のない事項を事後的な証拠によって立証することの可否について、同一の事実関係を実施可能要件、サポート要件及び進歩性のうち複数の要件で争い得るため、その基準は、原則として同一とすべきである。何れの要件についても、立証の対象の問題と立証のレベルの問題とは区別されるべきである。立証の対象は、判断の基準時が出願時であることに由来して、当初明細書及び技術常識の制約を受ける。ただし、進歩性に限り、緩和する余地がある。立証のレベルについては、当初明細書では、立証が一応の程度に達していれば足り、実際に研究した者でなければ記載できない内容であれば許容とすべき場合もあるが、特許要件の判断の時点では、より高いレベルが求められる。当初明細書での基準を満たしている場合には、補充の立証として、事後的な証拠が許容される。これらの解釈について、欧米の解釈及び運用との比較も行った。
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