「知財管理」誌

Vol.63 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 63巻(2013年) / 3号 / 363頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No.421)
論文名 No.421 後に無効となった特許権に基づき,後に無効となった特許権に基づき,過失がないとされた事例
著者 岡田春夫
抄録 競合会社の取引先に対して特許権侵害の警告を行う場合において、事後的に被疑侵害物件
が特許権を侵害しないものであることや特許権が無効であることが判明した場合、不正競争防止法2
条1項14号の不正競争行為に該当するか否か、さらには損害賠償請求の成否との関連で侵害警告者に
故意過失が認められるのかが問題となる。東京地裁平成24年5月29日判決では、後に無効となった特
許権に基づき競合会社の取引先に対して行った侵害警告に関して、過失がないこと、差止めの必要性
がないことを理由として、侵害警告者の責任が否定された。
 本稿では、当該裁判例の事案及び判旨について述べた上で、当該裁判例の判断内容について論評を
行う。筆者は、当該裁判例の事案においては、過失の有無で決するよりも、正当な権利行使の一環と
してなされたもので違法性を阻却するか否かで決するのが適切であったと考えており、論評部分にお
いて、この点について述べる。その後、当該裁判例及びその他の侵害警告に関する裁判例等を踏まえて、
特許権者による競合会社の取引先への侵害警告における留意点について述べる。
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