「知財管理」誌
Vol.63 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 63巻(2013年) / 1号 / 71頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.417) |
論文名 | No.417 韓国版キルビー判決及びその影響 |
著者 | 大野聖二 韓相郁 小林英了 |
抄録 | 韓国の特許侵害訴訟において、進歩性欠如の無効理由がある場合に権利行使が制限される か否かについて、大法院の判断は変遷してきた。本判決は、進歩性が欠如する特許発明に基づく権利 行使が制限される旨判示し、これに相反する大法院の過去の判決を明示的に破棄することにより、理 論上の乱脈を整理したという点に大きな意味がある。しかし、既に2004年に大法院は日本のキルビー 判決の結論とほぼ同じ内容の判示をしており、実務的には大概の特許侵害訴訟で新規性、進歩性がな いという理由で権利濫用抗弁が提出されており、この主張を受け入れた判例も多数蓄積されている。 従って、この判決により韓国での訴訟実務に画期的な変化がもたらされるとは考えられないが、本判 決を受けて、侵害訴訟の対象となる特許権に対する無効審判についても迅速審判の対象となり、特許 審判院による早期の判断を受けることが可能となり、侵害訴訟ルートと無効審判ルートとの判断の齟 齬が防止されることが期待される。 |
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