「知財管理」誌

Vol.63 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 63巻(2013年) / 10号 / 1659頁
論文区分 判例研究(続・No.20)
論文名 (続・No.20) 特許法29条1項1号の「公然知られた」と情報公開法による公開
著者 角田政芳
抄録 本件判決は、特許権侵害訴訟における特許発
明の新規性の有無と情報公開法に基づく公開と
の関係を示した初めての判決である。ただし、
本件判決は、公知、公用、刊行物記載について、
従来の判例学説とは異なる解釈を示しており、
原告の請求を認容した結論には賛成することが
できるが、その理由には大きな疑問がある。
特許要件として新規性が求められている理由
として、特許法が、公衆に利用可能となってい
る発明についてはその自由な利用を確保してい
るものと解釈することも求められているように
思われる。そのような視点からは、新規性は、
公衆に利用可能となっている発明でないことを
意味することとなり、また、公衆に利用可能と
なっているかどうかは、その利用主体、利用客
体および利用態様のいずれの面についても判断
される必要がある。判旨は、むしろ、このよう
な観点とは逆の立場に立っているように思われ
る。
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