「知財管理」誌
Vol.61 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 61巻(2011年) / 7号 / 961頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | プロダクト・イノベーションと科学技術イノベーション政策 |
著者 | 大橋 弘、西川 浩平 |
抄録 | 本稿では、文部科学省科学技術政策研究所が実施した「第2回全国イノベーション調査」を用いて、我が国におけるプロダクト・イノベーション創出に向けた現状と課題を明らかにすることを目的とする。本稿の分析から得られた知見は次の通りである。画期的なイノベーションは、そのイノベーションを生み出した企業の売上を高める一方、波及効果(技術的なスピル・オーバー)の存在から、そうしたイノベーションは過少供給になる傾向がある。そのため、社会的に最適なイノベーションの供給がなされるためには公的助成を含む政策的な対応が望まれるが、とりわけ研究開発支出額が5千万円以下の企業に対する対応が有効である可能性がある。最後に、我が国においては企業年齢の若いベンチャー企業や大規模企業と比較して、設立後20年以上が経過した老舗中小企業のほうが画期的なプロダクト・イノベーションを生み出す割合が高く、今後のイノベーション政策を考えていく上で事業承継も重要な論点であることが指摘された。 |
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