「知財管理」誌
Vol.61 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 61巻(2011年) / 2号 / 159頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 産業の立場から見た日本特許法の目的と第35条職務発明制度の問題 |
著者 | 松居 祥二 |
抄録 | 日本の現行特許法の目的は、その第1条に「産業の発達」であると明記されている。近年 企業の研究職社員が、在職中の発明が特許され、会社の利益実現に貢献したが、会社は正当な金員を 支払っていないと主張して、退社した後に不足分(未払い分)の支払いを請求する訴訟が多発してい る。多くの判決が言い渡されているが、被告会社には納得できない判決が多く最高裁の判断が求めら れている。企業が元社員と法廷闘争を繰り広げる状況は、法律の規程自体か、その解釈か、制度の運 用のいずれかに問題があり、特許制度が法第1条の目的達成に貢献していない状態であると筆者は考 えている。 外国企業には、日本は研究投資の適格国ではないという意見があり、理由は職務発明問題だけでは ないとしても、業種によっては研究投資の撤収も見られる。 日本の企業(株主)と研究中枢にいた社員との法廷闘争の原因が、何処にあるのかを検討し、著者 にとっての疑問を示し、その原因を探り、最後にその改善の道の案を述べた。 |
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