「知財管理」誌
Vol.61 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 61巻(2011年) / 11号 / 1701頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.400) |
論文名 | No.400 新規事項の追加と数値限定の技術的意義−無水石膏の製造方法及び無水石膏焼成システム事件− |
著者 | 梶崎 弘一 |
抄録 | 本件判決は、明細書等に記載の無い数値を加熱温度の上限とする訂正が、明細書等の記載 から自明な範囲であるとした審決の判断が、知財高裁により維持されたものの、その数値限定に技術的意義がないため進歩性が否定されて、無効不成立の審決が取り消された事例である。 明細書に記載されていない数値を、クレームで限定する補正は、従来、必ず新規事項の追加に当たると考えられていた。しかし、この判決により、数値限定に技術的意義のない場合であって、より広い数値範囲が明細書等に記載され、具体的に記載されている数値にも幅があり、これとの関係で当該数値が上限値又は下限値として設定可能と考えられる場合には、当初明細書等に記載された事項から自明であって、新規事項の追加に当たらないことが示された。 但し、進歩性を主張するための補正の場合、通常、数値限定の技術的意義を伴うため、従来通り、明細書に直接的な数値の記載が必要となるので、この判決が与える実務への影響は小さいと考える。 |
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