「知財管理」誌
Vol.59 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 59巻(2009年) / 6号 / 669頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.365) |
論文名 | No.365 書面によらない契約の効力―口頭や電子メールによる合意成立について― |
著者 | 加藤幸江 |
抄録 | 本稿で取り上げる特許出願取下手続履行請求事件は、特許出願を取り下げる旨の合意が成立したか否かが争われた事件である。紙ベースにおける取下げ合意に係る書面は一切作成されておらず、関係者間の連絡は電話とメールで行われていた。東京地裁は、関係当事者間でやり取りされたメールの内容、経緯、行動、出願取下げ手続きについて特許法が求めている形式等を総合的に判断し、被告大学及び被告会社は出願取り下げに同意していないと認定して、原告の請求をいずれも棄却した。本稿では、本件東京地裁判決を題材に、契約の成立と要式性、書面・口頭・メールを初めとする電子記録における契約の効力について検討を加え、法律行為における書面作成の意義、重要性を探る。 |