抄録 |
判決は、延長された特許権の効力を定める特許法第68条の2の規定を持ち出して、登録要件を定める同法第67条第2項及び処分を受ける必要性の欠如を拒絶理由とする第67条の3第1項第1号の規定の解釈をしている。そして第68条の2の規定から、特許法は、政令で定める処分の対象となった品目ごとに特許権の存続期間の延長登録をすべきであるという制度を持っておらず、同条でいう「物」は「有効成分」、「用途」は「効能・効果」を意味すると解釈している。この解釈に基づいて、最初に特許法第67条第2項の政令で定められる処分がなされると、最初の処分はその有効成分又は用途について製造販売を解除する必要があった処分ということができるが、2度目以降に同一有効成分及び同一用途について成された処分は、特許法第67条の3第1項第1号に規定された処分が必要であったとは認められないときに該当し、特許権の存続期間の延長登録の出願は拒絶されると判示した。本判決は、特許権の効力を定めた第68条の2に基づいて第67条第2項(登録要件)及び第67条の3第1項第1号(拒絶理由)を解釈したこと自体に問題があり、また第68条の2の解釈にも問題がある。本稿は、これらの問題点を明らかにし、検討するものである。 |