「知財管理」誌
Vol.58 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 58巻(2008年) / 6号 / 757頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.352) |
論文名 | No.352 日常生活で撮影されたスナップ肖像写真の利用行為について著作権侵害が認められた事例 |
著者 | 井関涼子 |
抄録 | 本件は、日常生活の中で家族を写したスナップ写真の利用行為について著作権及び著作者人格権の侵害を認めた事案である。本件写真の著作物性、著作権の帰属、引用、氏名表示権や同一性保持権等、争点は多岐にわたり、肖像本人が利用に異議を唱えているわけではないという背景の下で、本件写真が日常生活の中で特段の芸術的配慮もなく撮影されたプライベートなものであることとの関係が検討された。本件判決は、著作権法の規定及び判例理論に照らして何ら問題のあるものではないが、肖像写真に関しては、著作権法上の権利ばかりではなく、肖像本人が自己の肖像を利用する利益との調整も必要であると考えられ、撮影時に撮影者が反対の意思表示をしない限りは、肖像本人の自由利用につき黙示の同意があったと解するなどの、柔軟な解釈又は立法が必要であると考える。 |
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