「知財管理」誌

Vol.58 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 58巻(2008年) / 4号 / 483頁
論文区分 論説
論文名 先使用権とその立証準備
著者 窪田英一郎
抄録 近年、技術を特許出願によって公開せず、ノウハウとして秘匿することの重要性が説かれているが、ノウハウとしての保護を選択した場合、他者の特許出願に対して先使用権を主張することになる場面が多く出てくることが予測される。先使用権の成立要件である「実施の事業の準備」については、最高裁のウォーキングビーム事件判決で、一定の解釈が示されているが、どの程度をもってこの要件が充足されるかはその後の判例等からも明確とは言いがたい。実際には、相手方特許について知る前からこのような「事業の準備」が問題となる場面に備えて先使用権の立証準備をすることは不可能であり、先使用権の立証準備のためには文書管理を徹底することが重要である。また、企業の知財部としては、ノウハウをいかに事業部から吸い上げ、選別するかも大きな問題であり、このような文書管理体制の確立とノウハウの選別とが先使用権主張の鍵となるものである。
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