「知財管理」誌
Vol.58 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 58巻(2008年) / 2号 / 211頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.349) |
論文名 | No.349 国外生産のための基幹部品の輸出 |
著者 | 岩坪哲 |
抄録 | 平成18年法律第55号改正により物の特許発明の実施行為に「輸出」が加えられたが改正後の特許法101条は特許発明の「生産にのみ用いる物」(専用品)或いは特許発明の「課題の解決に不可欠な物」の「輸出」を間接侵害行為類型に含めることを見送った。一方、過去の一連の裁判例においては、本件判決と同様、海外における生産(実施)に用いる専用部品等の譲渡を間接侵害に擬しない処理がされている。これらの裁判例は、詰まるところ、間接侵害の規律は我が国における特許権侵害の予防を目的とするものであって、海外における日本特許の実施が特許権侵害に該当しないという属地主義下での当然の帰結と見るものであり、形式論理としては自然である。しかしながらこの形式論理を貫くと看過できない問題を生ずる。本稿においては、本件判決を素材に、海外生産のための基幹部品(専用品等)の輸出行為に対する規律の必要性について利益衡量或いは理論的観点から論じ、解決の糸口を探りたい。 |
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