「知財管理」誌
Vol.58 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 58巻(2008年) / 1号 / 31頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | ソフトウェア特許によるイノベーションの促進および阻害についての一考察―特にライセンシー保護の観点から― |
著者 | 平塚三好 |
抄録 | 近年、ソフトウェア特許とイノベーションとの関係において共有化の重要性が指摘されている。ソフトウェア製品を製造・販売するいわゆる大企業の多くは、相互に特許技術の共有領域を形成した上で、それぞれの得意分野で特許発明の独占活用というインセンティブを追求し、さらにこれと並行して、共有化とは相容れないもの(例えばパテントトロールなど)に対し然るべき対応をとっていると考えられる。このように、各企業が共有領域の要素技術を利用しつつ独自性のある分野で特許取得に専念できれば、これはソフトウェア技術のイノベーションの促進につながる。しかし、もし共有領域にパテントトロールなどが関与すれば、これは逆にイノベーションの阻害につながるおそれがある。本稿では、近年、ライセンス契約に関するライセンシーの保護を主目的とした法制度整備や、ソフトウェアの法的保護の制限などの議論が、前記阻害の解決策になり得るかどうかを検討し、さらに、これらを企業の視点からも考察した。 | 本文PDF |