「知財管理」誌

Vol.58 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 58巻(2008年) / 10号 / 1267頁
論文区分 論説
論文名 立体商標の登録要件について(その1)―Coca-Cola立体商標事件―
著者 田村善之、劉シャオチェン
抄録 本稿はコーラ飲料の容器の形状に関する知財高判平成20.5.29平成19(行ケ)10215〔Coca-Cola〕の判例評釈である。立体商標の登録制度が日本に導入されたのは1996年の商標法改正に遡るが、従前の裁判例では、ヤクルト飲料の容器、サントリーのウイスキーの角瓶、お菓子の「ひよ子」の形状など、一般的に知名度が高いと思われる商品の形状や容器の商標登録がことごとく否定されてきた。そのようななか、本件出願にかかるコーラ飲料の立体的形状は立体商標の典型例として専門書でも紹介されることがあり、諸外国でも登録されていたものであるところ、これを拒絶した特許庁の審決が裁判所により是認された場合には、日本の立体商標の登録制度は商品の形状や容器にはおよそ機能しないものとなりかねないおそれがあった。その意味で、本件について立体商標の登録を認めるべき旨を説いた本判決は、実務的に極めて重要な判決であるといえる。さらに最近ではそもそも3条1項3号該当性を否定する裁判例として、知財高判平成20.6.30平成19(行ケ)10293[GuyLianシーシェルバー]が現れており、今後の動向が注目される。
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