「知財管理」誌
Vol.57 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 57巻(2007年) / 6号 / 875頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 秘密保持契約書・誓約書の注意点 |
著者 | 松村幸生 |
抄録 | 秘密保持契約・誓約書は、企業内部ないしは企業間の秘密情報の管理手段として各企業が自衛的に作成するものだが、単に秘密保持義務によって従業者や相手方企業を契約的に拘束することだけでなく、企業秘密保護を目的とする不正競争防止法に適合し、この法と連携・協働できることが必要である。 不正競争防止法は、秘密情報の保護を究極の目的としつつも、反面で、過重な秘密保持義務から副作用的に派生する従業者の職業選択の自由、営業活動への制約の危険も考慮して規制をしている。この観点から、秘密保持契約・誓約書が法的に有効とされ、不正競争防止法の秘密保護手段を効果的に利用できなくてはならない。 そのためには、秘密保持義務を負担するものの立場に配慮し、(1)秘密保持義務の対象を明確に特定する(2)必要性・合理性のあるものに秘密情報を限定すること(3)署名の際には秘密保持義務者の慎重な意思確認を行うことが重要である。 さらに、従業者が職務の過程で獲得した情報を企業秘密として管理にするための規定、さらには中途採用等により従業者の既保有の秘密情報とのコンタミネーションが起こらないための配慮なども必要となる。 |
本文PDF |