「知財管理」誌
Vol.57 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 57巻(2007年) / 3号 / 347頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 建築の著作物の特性と同一性保持権 |
著者 | 松田政行 |
抄録 | 建築の著作物は、実用性等の特性を有することから利用、改変等について特別の規定があり、一般の著作物より広い範囲の利用、改変が許容されている。建築の著作物に関連する諸概念を関係条文を検討することによって正確に認識し、表現形式であるところの建築の著作物の著作物性の要件を検討することによって、これと有体物である建築物との関係、関連する著作物であるところの建築設計図との関係を理解することができる。 建築の著作物は、実用性から起因する設計デザインを除いた美術的な要素について著作物性を検討することが求められる。一般居住用の建物について著作物性が肯定された裁判例はない。この判断にあたって一般の美術の著作物以上に芸術性の要件(設計者の文化的精神性を感得せしめる表現)を加味して考察するべきであるとする説とこれを不要とする説がある。私見は不要説である。 |