「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 5号 / 791頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ |
論文名 | No.305 同一発明であることの証明(追試)―追試が記載事実の忠実な再現であることに疑義があるとされた事例― |
著者 | 松本武彦 |
抄録 | 先願明細書や公知文献に記載されている発明と同一の発明については特許を受けることができない(特許法29条1項3号、同29条の2)。物の発明、特に化学関係の物質発明においてしばしば見られるところであるが、特許請求の範囲の記載において、未反応成分として残存する物質の量の上限を規定したり、当該発明にかかる物質を特定のフィルム寸法に成形して特定条件でプレスしたときのはみ出し長さの上限を規定したり、当該発明にかかる高分子の特定溶剤中での特定温度下での粘度の範囲を規定したりすることがあり(これらの規定は「パラメータ」と称され、かかる規定を持つ発明は一般に「パラメータ特許」と呼ばれている。)、先願明細書や公知文献に記載されている物質は当該特許にかかる発明と同一物質であると考えられるが、当該記載にかかる物質が特許の請求の範囲に規定されているパラメータを持つことが当該先願明細書や公知文献に示されていないため、先願明細書や公知文献の記載を参酌して物質を製造し、得られた物質が持つパラメータを測定して、先願明細書や公知文献に記載の物質が特許請求の範囲に規定するパラメータを持つことを証明することが行われる。この証明は一般に「追試」と呼ばれる。 本稿は、本判決をもとに、追試のあり方を探るものである。 |
本文PDF |