「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 4号 / 585頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 弁護士見解と故意侵害・損害賠償増額との相関性―CAFC、弁護士見解の必要性の再検討と秘匿特権を主張した侵害被疑者の保護を図る― |
著者 | 服部健一 |
抄録 | 米国の特許訴訟では特許侵害に悪意があると損害賠償が3倍にまでされ、更には、弁護士費用を要求されることもある。これを回避するためには事前に弁護士見解(鑑定)を得ておくことが最もよい。しかし、これを特権情報として開示を拒否すると、弁護士見解を得なかったかあるいは得たとしても不利な見解であったと推測してよいというCAFC(連邦巡回控訴裁判所)のKloster判例があり、特許業界で問題になっていた。また他社の特許の存在を認知したときには、常に弁護士見解を求めなければならないというCAFCのUnderwater判例も、特許技術の複雑化、高度化と共に弁護士見解のコストが高騰化しつつある折から、問題視されつつある。 このような背景から、CAFCは昨年9月にKnorr事件でオンバンク(大法廷)で有識者見解を収集し、本年2月にヒアリングを行い、これらの判例をより正しい評価基準である「全体の状況」から総合的に判断する方向で見直しすることを図っており、この春頃に下されるとみられるKnorr事件の判決で新しい考え方が示されることが期待されている。 もし、これらの判例が修正されたりすると弁護士見解を何の心配もせずに特許情報として開示しなくて済むので、今後の弁護士見解の依頼、そして作成の仕方は根本的に変わる可能性もある。 |
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