「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 2号 / 251頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ |
論文名 | No.303 実施可能要件を肯定した審決が取り消された事例 |
著者 | 喜多秀樹 |
抄録 | 本件考案は、「ドアの端面に露出する側板からボルトを出し入れしてドアロックを開閉するアクチュエータ」という構成を含む「ドア用電気錠」に関する。本件明細書にはアクチュエータの一例としてソレノイドが記載されていたが、ソレノイドとボルトの連携機構の具体的構造は記載されていない。かかる状況下で、審決は、ソレノイドが往復の駆動力を発生するアクチュエータとして周知であること、および、その駆動力を伝達機構を介して往復させることが技術常識であることを理由として、旧実用新案法第5条第3項の実施可能要件を満たすと判断した。これに対して、東京高裁は、本件考案はドアの内部に収納される電池で稼動するアクチュエータと制御部とを備えたドア用電気錠であるから、単にソレノイドと伝達機構の周知性を示すだけでは足りず、ドアの内部に収納可能な小電力用のソレノイド及び伝達機構が出願時の技術常識となっている必要があるとし、上記審決を誤りとして取り消した。 | 本文PDF |