「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 1号 / 47頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許法と反トラスト法の相克―ランバス特許争訴を契機として― |
著者 | 藤野仁三 |
抄録 | ランバス社のRDRAM(ランバス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)をめぐる特許裁判が米最高裁に上告された。また、米連邦取引委員会(FTC)もランバス社の行為が反競争的であったとして告訴し、現在その審理が進行している。裁判や審判での焦点は、関連する特許出願の存在を標準設定機関に通知しなかった行為が「フロード」(詐欺)として違法性をもつか、そのような行為がランバス社の市場独占をもたらしたか、の判定である。一ベンチャー企業にすぎないランバス社の特許をめぐり、司法機関である裁判所と行政機関であるFTCが並行してその違法性を審理していることは、この問題が特許法のみならず競争法上も重視されていることを示唆している。 特許と技術標準の交錯問題は、特許権者の権利保護を目的とする特許法と自由な競争を確保することにより公益の保護をめざす反トラスト法との相克の問題でもある。本稿は、控訴裁判所の判決とFTCの提訴状の内容を検討することにより、技術標準に関与した特許権者が、みずからの権利を行使する際にどのような拘束を受ける可能性があるかを検討するものである。 |
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