「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 11号 / 1603頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許法35条発明者への対価支払条項と企業の定めるべき職務発明規定 |
著者 | 松居祥二 |
抄録 | わが国における職務発明の対価請求訴訟は、1件の最高裁判決、複数件の高裁判決が言い渡された。民事訴訟はそれぞれの個別の事件につき、当事者の主張と証拠のみに基づいて判断が下されるのもであり、当事者の主張が異なれば異なった判決が出る可能性はあるが、当事者の主張には共通性があり、その限定では判決の方向性は定まってきているように思われる。 しかし、大正10年法14条の補償金が現行昭和34年法35条で対価に改正されたにもかかわらず、訴訟での争点は実績保証金の額の妥当性である。判決は当事者主義、口頭弁論主義の審理故、両者の差についての判示はない。なぜ実績補償金方式では企業経営に不都合が生じるかは、企業側がその点を明らかにしたようにも見えない。筆者は昭和34年法当時、法改正に知財協の前身、事業者工業所有権協会のメンバーとして関与したこともあり、この点について述べる目的で本稿をまとめた。 |
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