「知財管理」誌

Vol.52 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 52巻(2002年) / 8号 / 1111頁
論文区分 特集(中国)
論文名 中国における特許権の保護範囲の解釈 ――均等論を中心として――
著者 黒瀬雅志
抄録 特許法改正にあわせて、最高人民法院から「専利紛争事件の審理に適用される法律の問題に関する最高人民法院の若干の規定」(司法解釈第21号)が公布され、同年7年1日に施行された。この司法解釈第21号は、第17条において特許権の保護範囲の解釈基準を示し、均等論を適用する要件を明記した。また、同年9年には、北京市高級人民法院による「特許権侵害判定の若干の問題に関する意見(試行)」の執行通知(以下「意見」)が公布され、10月11日に施行された。この「意見」(解釈指針)は、中国において初めて公表された統一的な解釈指針であり、今後、中国全土における裁判所の解釈基準を統一する過程で大きな影響力を有するものと考えられる。中国の特許権保護範囲の解釈基準は、余計指定原則、公知技術抗弁原則などに中国特有の考え方がみられるが、均等論を含むその他の解釈基準については、米国、ドイツなどの解釈実務をよく研究し、その理論を採用していることが分かる。従って、中国の特許権保護範囲の解釈基準は、理論的には、国際的流れに沿うものであり、国際的な調和がとれているものと判断される。
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