「知財管理」誌
Vol.52 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 52巻(2002年) / 5号 / 635頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 商標における権利不要求制度についての一考察 |
著者 | 商標委員会 |
抄録 | 「権利不要求制度」は、商標中の識別力が無い部分単独について商標権を主張しないことを条件に、商標全体としては登録を認める制度である。本制度は、英米法系の国を中心に採用されており、我が国においても大正10年法では存在したが、昭和34年法にて廃止され、その後、さまざまな検討がなされたが、現在のところ採用には至っていない。そこで、国際ハーモという視点にも鑑み、改めて本制度について考察した。本稿では、本制度の利点や問題点を検討し、本制度を採用した場合の法整備・運用を想定し、利点を享受でき且つ問題の少ない制度が創設可能か否かという点を中心として、商標委員の所属会社へのアンケート結果(回答数35)をも参考にして検討を進めた。検討の結果、本制度は商標権の権利範囲の明確化という利点は認められるものの、審査の統一性維持の困難性等の難点も看過できないことから、登録商標中の識別力の無い構成部分に起因する問題に関しては、商標法26条の改正等をも視野に含めた更なる検討が必要であろうと考えた。 |