「知財管理」誌
Vol.52 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 52巻(2002年) / 1号 / 75頁 |
論文区分 | 特集(バイオを取り巻く知的財産の現状) |
論文名 | バイオ特許訴訟の最近の動向 |
著者 | 片山英二 |
抄録 | これまでのバイオ特許侵害訴訟の主要な判例について、権利の幅という視点から検討を加える。各ケースについて出願経過を含めてみてゆくと、いずれも補正がなされており、その結果権利が限定されて非侵害とされたものと、補正後もなお均等論により侵害が認められたものに分かれる。一方、審決取消訴訟では、当業者が「過度の負担」なく実施できるのかどうかをメルクマールとして、開示の不十分な広いクレームを無効としている。バイオ発明の保護の仕方としては、クレームを限られた幅で認めて模倣には均等論で対処するアプローチと、ある程度広いクレームを認めた上で、不相当な場合に限定解釈や無効の抗弁で対処しようとするアプローチがあり得るが、判例はやや前者に重心を置いているようにみえる。侵害訴訟における特許無効の審理と訴訟の迅速化により、現在ではほぼ1年で特許訴訟の実質的な決着がつくようになっているが、実験に時間を要するバイオ訴訟では、適正な審理のための審理期間についての配慮が望まれる。 |