「知財管理」誌

Vol.52 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 52巻(2002年) / 11号 / 1653頁
論文区分 論説
論文名 遺伝子関連発明の成立性について
著者 バイオテクノロジー委員会第1小委員会
抄録 従来、化学物質が発明として成立するためには、実際に製造し、その有用性を実証することが必要とされてきた。しかしながら、遺伝子関連物質は、その構造と機能との結びつきが一般の低分子化合物と比較して強い。また、最近のバイオノテクノロジー技術の発展により、ゲノムの塩基配列から蛋白質等をコードする領域を推測することも可能になってきた。従って、ゲノムの塩基配列が明らかにされれば、実際に物質を製造し、その機能を実証してその機能に基づく有用性を示さなくても、当業者であれば、その遺伝子配列がコードする物質を特定し、その機能と有用性も既存の蛋白質等との相同性から予測することが可能になってきた。そこで、バイオテクノロジー委員会第1小委員会ではこの遺伝子関連物質発明の成立性について、最近の日本の審決取消訴訟事件である「ナトリウム排出亢進性ペプチド事件(BNP事件)」と「T細胞抗原ポリペプチド-β事件(TCR-β事件)」を基に考察を行った。また、遺伝子関連発明の発明未完成及び実施可能性不備の判断基準についての考え方を提示することを試みた。
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