「知財管理」誌
Vol.51 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 51巻(2001年) / 3号 / 433頁 |
論文区分 | 特集(著作権法制の現状と未来) |
論文名 | 著作権に関する国際私法的処理における単位法律関係と連結点 ―審議中のWIPO視聴覚的実演条約案における準拠法条項について― |
著者 | 道垣内正人 |
抄録 | 著作権・著作隣接権の分野は国際的な法統一が早くから成功した数少ない分野の一つである。1886年のベルヌ条約以来多くの統一法条約が作成されている。しかし、法内容を完全に統一してしまうことは容易なことではない。ベルヌ条約も著作権に関するすべての事項についてルールの統一をしたわけではなく、いくつかの問題については国際私法による準拠法決定というセカンド・ベストの方法に処理を委ねている。つまり、各国の実質法の内容がばらばらであることを前提として、個々の事例を規律する準拠法の決め方を定める準拠法決定規則(国際私法)を統一することによって、どの国から見ても一つの問題には同じ法律が適用されるようにしようというわけである。現在準備されている視聴覚的実演に関する条約においても、法統一のできない問題についてこの国際私法の手法を使おうという議論がなされている。そこで問題となっているのは、単位法律関係の大きさをどうするか、そして、連結点をどうするかである。本稿では、国際私法の構造を概説した後、2000年12月の外交会議においては決着のつかなかったこれらをめぐる意見の対立点を解き明かすことを目的とする。 |