「知財管理」誌

Vol.51 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 51巻(2001年) / 1号 / 41頁
論文区分 論説
論文名 経時変化する化学物質を含む製品の侵害問題について ―「芳香性液体漂白剤組成物」事件―
著者 吉田広志
抄録 本稿では、イ号品の製造時には侵害品でないが、製品が経時的に化学変化することによって事後的に特許品に変化した場合に、当該非侵害品を製造する行為が特許発明の実施に該当するかどうかが争われた事件について考察する。本件は問題となっているイ号品の使用者が一般の消費者であり、特許権者としてはイ号品の製造者に対して権利行使をせざるを得ない状況である。そこで特許権者は、製造された瞬間は非侵害品であるはずのイ号品に対して、後の経時変化によって事後的に侵害品に変化することをもって、イ号品の製造を特許品の「製造」に該当するとして争った。化学製品の多くは、経時的に変化していくものであり、その変化後の製品についての特許権侵害に対して裁判所の判断がなされた点で、本判決は有意義であるといえる。
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